窓際の山河くんの隣は。


帰り道。
いつもの帰り道とはちょっとちがった。

少しだけ、今までよりも、もっと近い関係で居られたような気がした。


待ってる、その言葉だけで嬉しかった。


「俺も、ちゃんと就職できるように頑張る」

「うん。頑張ってね!山河くんならきっと一発だよ!」


それはねーよ、とハハハ、と私たちは笑いあった。


ああ、なんだかスッキリした。

心の中にあったわだかまりが全部とれたような気がした。


もっと、前を向いて行かなきゃ。
そう、思えるようになった。


「私、頑張る。今日、帰ってちゃんとお母さんとも話す。だから、山河くんも……」

「うん。俺も、帰ったら母さんからの手紙を読むよ。じゃないと前に進めないから」

「うん!」


私たちは、手を振って、じゃあまた明日、と別れた。