帰り道。
いつもの帰り道とはちょっとちがった。
少しだけ、今までよりも、もっと近い関係で居られたような気がした。
待ってる、その言葉だけで嬉しかった。
「俺も、ちゃんと就職できるように頑張る」
「うん。頑張ってね!山河くんならきっと一発だよ!」
それはねーよ、とハハハ、と私たちは笑いあった。
ああ、なんだかスッキリした。
心の中にあったわだかまりが全部とれたような気がした。
もっと、前を向いて行かなきゃ。
そう、思えるようになった。
「私、頑張る。今日、帰ってちゃんとお母さんとも話す。だから、山河くんも……」
「うん。俺も、帰ったら母さんからの手紙を読むよ。じゃないと前に進めないから」
「うん!」
私たちは、手を振って、じゃあまた明日、と別れた。

