「たまに、嫌なこととかあったらここきて、叫ぶんだ」
「え?山河くんって叫んだりするの?」
「はあ?俺を何だと思ってんだよ。それぐらいするし」
ははは、とお互い笑いあって、やっと元通りになれた、と心の中で嬉しく思った。
「そっか、お母さんとの思い出の場所か……」
「なんか、ごめん。こんな暗い話聞きたくもねぇよな」
「ううん、そんなことない!もしよかったら……話してほしいな。私、山河くんのこともっとちゃんと知りたいの」
じっと目を見つめて、彼の手を握った。
彼に昔何があったのか、知りたかった。
野次馬とかじゃなくて、ちゃんと彼のことを知っておきたかった。
「……」
山河くんはそんな私から目を反らし、じっと海を見つめていた。
時間がかかってもいい。
ただ、彼の口から離してくれるのを待っていた。

