窓際の山河くんの隣は。


「どこに行くの?」

と聞いても山河くんは何も言わないで、ただ私の手を引っ張って走っていた。


「着いたよ、ここ」


着くとすぐに私の手を離した。


「わあ……!すごく綺麗……!」


そこは、広く青い海が見えるとても小さな公園だった。

「こんなところ、あったんだね」

こんな近くに、こんなに素敵な場所があるなんて思わなかった。

古くさびれたブランコとベンチ。たったそれだけしかなかったけれど、ベンチに座れば海が一望できた。



「穴場だね、ここ!よく来るの?」

「……うん。昔母さんに連れてきてもらってた」

「……」


私は山河くんの言葉につい俯いて、何も返せなかった。

こういう時、どんな言葉を返したらいいのだろう。
何も思いつかなかった。