「どこに行くの?」
と聞いても山河くんは何も言わないで、ただ私の手を引っ張って走っていた。
「着いたよ、ここ」
着くとすぐに私の手を離した。
「わあ……!すごく綺麗……!」
そこは、広く青い海が見えるとても小さな公園だった。
「こんなところ、あったんだね」
こんな近くに、こんなに素敵な場所があるなんて思わなかった。
古くさびれたブランコとベンチ。たったそれだけしかなかったけれど、ベンチに座れば海が一望できた。
「穴場だね、ここ!よく来るの?」
「……うん。昔母さんに連れてきてもらってた」
「……」
私は山河くんの言葉につい俯いて、何も返せなかった。
こういう時、どんな言葉を返したらいいのだろう。
何も思いつかなかった。

