「いやあ、あの山河くんがそんなワケアリな事情あるとはね……」
サキとミカが、顔を見合わせて神妙な顔をしていた。
ふと教室を見るとみんなこそこそと何かを話していた。
何?山河くんがどうしたの?
全然話についていけない。
「山河くんのお母さんね、自殺して亡くなったんだってさ」
――――え?
「なんでも、山河くんのせいだって噂だよ」
「何したんだろうね?そんな子に見えなかったんだけどなあ」
頭が真っ白になった。
サキとミカの声が耳にまとわりつく。
「なんか、ちょっとよくわからない子だと思ってたけど。関わらないのが無難な選択だね。凛子もやめときなよ?」
「山河くんは?!どこ?」
私は知らない間に大きな声を出していて、教室が一瞬で静かになった。
「え、いや知らないけど……さっきまで居たんだけど、途中で出て行っちゃった。私らの話が聞こえたのかな?」
「っ……!」
私は凛子!というサキとミカの叫び声を無視し、教室を飛び出し、全力で走っていた。

