「え――」
一瞬時が止まったように感じた。
彼の方を見ると、ぱっちりと目を開けていた。
起きたんだ。
彼につかまれている部分が熱い。
何が起こっているの。
「や、山河くん?」
「あっ、ごめん」
山河くんも自分のしていることにびっくりしたのか、バッと手を離して口をパクパクさせていた。
「えっと……あの」
「ごめん、俺夢見てて……急にごめん変なことして」
「あ、ううん、大丈夫だから」
二人ともうつむいて、気まずい空気が流れた。
私は一人、緊張してドキドキして、震えていた。
「わ、わたし帰るね!明日カレー温めて食べてね。じゃ、お邪魔しました」
一刻も早くこの場から逃げ出したかった。
この心臓の音が大きすぎて聞こえてしまうんじゃないかと思うと、怖かった。
はあはあと息を立てながら私はひたすら走った。
ふと携帯を見ると、着信履歴がお母さんで埋まっていた。
やばい。
覚悟して帰らなきゃ……

