窓際の山河くんの隣は。


私はその姿に息をのんだ。

山河くんって、そんなこともしちゃうんだ……
ちょっと前までは彼がこんな人だなんて思いもしなかった。

なんて優しいかっこいい男らしい人なんだろう。
私は胸がキューっと締め付けられるような感覚がした。


「わあ!お兄ちゃんかっこいい!」


女の子の感動する声と、お母さんの心配する声。

そんな声が混じる中、彼はなんともないように風船を簡単に取ってみせた。


「はい、もう手から離しちゃだめだよ?あと、あんまりお母さん困らせちゃだめだよー?」

と言って、女の子の頭をポンポンと撫でていた。

女の子はうん!と大きく頷き、お母さんは丁寧にお礼を言って、彼女たちはその場を去っていった。

私はただひたすら、そんな山河くんをじっと見つめているだけだった。