大きく手を振りながら駆けて行ったミドリの背中を見送りながら、私は一人で抜けるような青空を見上げた。


昨日の今日で、ミドリに日下部くんとの秘密の関係を解消したことを伝えるタイミングをスッカリ逃しちゃったなぁ……


今日はスポーツ祭で一日忙しいだろうし、今日中に伝えるのも無理そうかな……


予告通り、外部からの見学者も多く集まった今年のスポーツ祭は例年とは比べ物にならないくらい賑わいでいて。


保護者の皆さんや、学校関係者の人たち。一般のお客さんまで入って、OBやOGの皆さんもボランティアでお手伝いに来てくれるほどの大盛況。


実行委員長は、そんなみんなをまとめる為に朝から走り回っているし、私たち実行委員も今日は一日忙しそうだ。



「……がんばろ」



ぽつり、と。

言葉を零して前を向けば、溢れる人たちの中。


人混みを視線で掻き分けて、私を真っ直ぐに見つめる――――彼と、目が合った。