「……………う、」 「あ。美月、起きた!?大丈夫!?」 ――――ぼんやりと靄(もや)のかかった思考が晴れると、次に感じたのは薬品の、鼻を刺すような独特な匂いだった。 確か倒れる直前に感じたのは、もっと甘い……思わず安心するような、そんな香りだったはず。 数回瞬きを繰り返せば、視界に映ったのは白い世界とミドリの姿。 それにゆっくりと視線を動かしながら、私は一度だけ大きく息を吐きだした。 「…………ここ?」 「保健室だよ!美月、体育の授業中に倒れたんだよ?」 「…………倒れ、た?」