紅ずきん



翌日、私は学校につくと、すぐに図書室に向かった。


「先生、卒業アルバム見せてください!」

「はい。授業が始まる前には教室に戻りなさいよ?先生はちょっと用事があるから。見終わったらそこの机に置いていてね。」
「はい。」


私は去年の卒業アルバムを見た。


たくさん見たことある人がいた。


「あ、舞先輩だ。優香先輩もいる。」

委員会で一緒だった先輩を見つけた。


次のページを開くと、委員会のメンバー全員で写っている写真があった。


「あ、あのときの写真か。」

みんな知っている人だ。


すると、一人だけ全く知らない人がいるのに気づいた。


あれ?
こんな人いたっけ?


私はこの人の顔を覚え、前のページに戻って、名前を探した。


すると、去年の3年1組にいた。


名前は…
神山 恵梨奈。


「え…?この人が、神山恵梨奈…?」


全く覚えてない。


そうか。
これがあの赤い頭巾の呪いなんだ。


みんな、こうやって悠太を忘れていたんだ。


でも、この写真をずっと見ていると、何かが頭を過る。


何か思い出せそうな気がした。


絶対にこの人にあっているはず。


どこかで…。


『私、赤い頭巾の呪い、といてみようと思うの。』


不意にそんな言葉が浮かんだ。


すると、それを皮切りにたくさんの記憶が蘇ってきた。


「ああ…。エリナ先輩!思い出した。一番仲が良かった先輩だったんだ。」


確か、卒業する1ヵ月前に図書館に行ったんだ。


あのあとから記憶を消されていたんだ。


エリナ先輩は最後にこう言ってたんだ。


『白ずきんが赤くならないように物語を作り直さないといけないんだって。だけど、それは別世界に行って自分で未来を変えなきゃいけないとダメなんだって。』


思い出した。


やっぱり、私も別世界に行かなきゃダメなんだ…。


エリナ先輩も、悠太も助けなきゃ。


『もしも失敗したら、赤ずきんか、狼に殺されてしまって、誰にも知られずに死んでしまうんだって。怖いよね。』


失敗したら…?


エリナ先輩がいなくなって1年が経っている。


もしも失敗してしまったんだったら…。


早く、行かなきゃ。