アリスは女子生徒二人を捕まえ、殺した。


そして、死体は穴の中に投げ入れた。


俺はアリスのもとへ駆け寄る。


たとえアリスじゃなく、赤ずきんだとしても、アリスにだったら殺されたってよかった。


「アリス!アリス!」


俺が叫ぶと、アリスは俺の存在に気づいた。

近づいてよく見ると、首に俺がつけた切り傷があった。

切ったときのまんまだった。


でも、アリスはそこにいた。


「死ねない…」


アリスは涙を一筋流し、そう呟いた。
そして、消えてしまった。



アリスは死ねないんだ。
赤ずきんのせいで。


俺が救わなきゃ。
アリスを終わらせないと。


俺がアリスのいた場所に行こうとしたとき、真っ赤な頭巾がそこにあった。


《邪魔はさせない。》


どこからか声が聞こえてきた。
俺はすぐに殺されると悟った。


ならば、せめて誰かがこの赤ずきんの呪いをといてくれるように何かメッセージを残そう。


俺は頭巾がゆっくりと近づいてくるなか、あわてて本の最後のページに必死にメッセージを書き残した。


誰か、アリスを助けてくれ。




俺がまだ、メッセージを書いている途中に頭巾が俺に覆い被さった。



そして、一瞬にして腹を裂かれ、臓器をえぐり取られた。


意識を失う寸前に誰かが見えたような気がした。


でも、わからなかった。


そして、俺は死んだ。







いつか、誰かが呪いをといてくれると信じて。