世界は消滅した。



私たちを除いては。


最期に雪兎とエリナ世界は私の言葉に驚いたけど、うなずいていた。


もう二度と会えない。
だけど、言ったんだ。

「また会おうね」って。


叶わないことだけど。
なぜか私は言っていた。


気がつくと、私と悠太は旧校舎の図書館に、赤い頭巾に包まれて寝ていた。


「悠太…?」

「アリス…!俺たち、助かったんだな…。」

「うん。」

「エリナ先輩と雪兎は…。ダメだった…けど…。」

「…。」



そのとき、私はあることに気づいた。
確か、エリナ先輩は私たちが現実に戻ったらエリナ先輩のことは忘れてしまうって言っていたはず。


だけど、私どころか、悠太も覚えている。

なぜ…?


私たちは頭巾から出た。
すると、図書館の机が目に入った。その上には、『赤ずきん』があった。

すべての元凶の本。


私は名前が書かれてあったページを開いた。

すると、死んでしまった人の名前には×印が書かれていた。


私と悠太は生きて帰ってこれたので、何も変わったところは無かった。


そのとき、私はあり得ないものが目に入った。


エリナ先輩と雪兎の文字には×印が無かった。

二人はあの世界と共に消滅したはずなんじゃ…?


でも、もしも生きているなら…





二人にまた会える。






「悠太!これを見て!」


私は悠太に話した。
もしも生きているなら、何か方法があるかもしれない。


私は二人をもとの世界に戻したかった。

エリナ先輩だって、今からでも人生をやり直すのは遅くない。


私は自分の考えを悠太に伝えた。


ところが、悠太は私の考えとは反対だった。


「ごめん、アリス。俺はそうは思わない。あれは二人で選んだ道だ。もう戻れなくてもいいという覚悟で選んだ道。それを俺たちがどうこうしても。だから、このままでいいんだ。アリスの気持ちもわかる。でもな…」

「何で?!今だったら、皆幸せだよ?エリナ先輩には友達がいる。雪兎は幼馴染みとしてまた一緒にいられる。どう考えても幸せよ!それを自分で逃すなんて、勿体ないじゃない!」

「確かにそれも幸せだよ。でも、別の幸せもある。二人はそっちを選んだんだよ。だからもう…」
「私は嫌だ!」

「アリス!」

「必ず、必ず…。もとの世界に連れ戻す。」



このとき、私はきっと狂ってしまったんだろう。


私は人の気持ちも考えず、ただ自分勝手に決めた。


私は悪気はなかった。
ただ…。


もう一度皆に会いたかったんだ…