「え…?」
もう、意味がわからない。
赤ずきんが言ってることも、雪兎がいってることも。
とにかく今は、カイだ。
あまりに悲惨な光景で、私はまだよく見ていなかった。
私は恐る恐るカイを見た。
カイは手足がバラバラになっていて、腹が裂かれていた。
「うっ…。」
私は直視できず、目をそらした。
カイも、死んだ…。
でも、まさかドアが開くなんて、あんなのあり得ない。
確かにしっかりと鍵をかけたのを覚えているし、第一家からほとんど出ないんだから鍵を触ることは滅多にない。
じゃあ、なぜ…?
赤ずきんが外から開けたっていうの…?
「アリス、悠太!危ない!!」
雪兎の言葉に我に返った。
後ろで赤ずきんがナイフをかざしてニヤリと笑っていた。
「逃げろ!!」
悠太がそう叫び、私の手を引いて走り出した。
それに続いて雪兎とハルが走り出した。
赤ずきんはその後ろからものすごいスピードで追いかけてきた。
私達はただただ家に向かって走る。
そして、何とか全員家にたどり着いた。
皆が家に入ったのを確認した瞬間、ドアを閉じた。
「雪兎…。じっくり話を聞かせてもらおうか。」
「だから、僕は犯人じゃない!僕は、皆を助けたかっただけなんだ。」
「じゃあ、何で赤ずきんはあんなことを言ったんすか?」
「あ、あれは…。事情があるんだ。」
「なら、その事情とやらを話してくれないか?」
「無理だ。ごめん…。」
「お前なぁ…。」
「悠太。」
悠太が今にも雪兎に飛びかかりそうで、私は悠太を呼び止めた。
「どんな事情かはわからないけど、雪兎は犯人じゃないんだよね?じゃあ、どうやったら私達は助かるの?私達は、死なずにすむの…?」
「僕も今、その方法を探しているんだよ。というより、ある人物を探しているんだ。」
「ある人物…?」
「誰かは言えない。アリスのためなんだ。」
「私のため…?」
「うん。」
やっぱり、訳がわからない。
私のため?ある人物?
探している?
時間がないのに…
わからない。
混乱してる。
もう、お昼だ。
1日の半分が終わろうとしている。