紅ずきん



一瞬の出来事で私は何が起きたのかわからなかった。
そして数秒後、カイが赤ずきんに捕まったという状況が把握できた。


「み、皆!カイが、カイが…!」

「わかってるよ。アリス、まずは落ち着け。」

「うん。」

「今から俺が外の様子を見てくる。カイを探しに行く。」

「ダメ!行かないで!」

「じゃあ、誰が助けるんだよ?」

「違う。私も行く!」

「それはダメだ。」

「嫌だ。悠太が行くなら私も行く。ダメって言うなら行かないで。」


悠太は私の発言に悩んでしまった。

「だったら皆で行こうよ。それならいいだろ?」


雪兎がそう言った。


「わかったよ。じゃあ、探しにいこう。」


そうして、皆で行くことになった。

悠太がドアを開いて外を確認する。
私は悠太のすぐ真後ろから同じように外を確認した。

何もいないことがわかったところで、やっと外に足を踏み出した。



ドアのすぐ目の前から、森の奥まで人が引きずられたようなあとがあった。

カイだろう。


私達はその後を周りを警戒しながら追っていった。

ずっと歩き続けた。
それでも、引きずられた跡はまだまだ先に続いた。


この短時間でどうやってあんな遠くまで行ったんだろう?



こんなこと、人間にはできないよ。



「おい!あ、あれ…。」


悠太が突然止まって、奥の道を指差した。

そこを見ると、血があった。


恐ろしいことを想像してしまう。

私達は再び歩き出した。
道はカーブになっていて、どこまで跡が続いているかわからなくなった。


私達はただ跡を辿って行った。
すると、引きずられた跡が突然消えた。


「跡が無くなってる!」

「右に曲がってるみたいっすよ。」


ハルの言葉に、皆右を見た。

赤い跡があった。


草むらを掻き分けながら進んでいった。
そして、木々が開けたところに着いた。


その場所の中心部に血の池ができていた。


「うわあっ!か、カイ!」


悠太がカイのもとに走る。
でも、私は木の影に赤ずきんがいるのを見た。


悠太が…!


私はとっさに悠太の後を追った。

悠太がカイのところに着いた途端、影から赤ずきんが飛び出した。

ナイフを振りかぶって。


私は死を覚悟し、悠太をかばった。
だけど、数秒しても何も感じない。

私は目をゆっくり開けた。
すると、赤ずきんがナイフを振りかぶった状態のまま、固まっていた。


「ア、ア、ア、ア…。ユキト、ユキト…。ワタシヲ造リ上ゲタヤツ。」



今、何て言った…?


私を…造り上げたやつ…?


それって…
まるで雪兎が…この話を作ったみたいじゃない…


「アリス…。今の言葉聞いたか…?」

「うん…。」

「やっぱり、あいつが犯人なんだよ…。」


もう、私も雪兎を疑わずにはいられなかった。


少しの希望にすがったのがバカだった。

やっぱり、雪兎だったんだ…。


「雪兎…。なんで…?なんで嘘なんかついたの…?」

「違う!僕は犯人じゃない!赤ずきんが言っていることは嘘ではないけど…。でも、事情があるんだよ!」

「もう、嘘はやめて!最悪!」

「違うんだ…。僕は…違うんだ…。ただ…二人を守りたかっただけなんだ…。」