「まあ、大丈夫だよ。なんとかなるよ。」
悠太はさっきとは変わって、私をフォローしてくれた。
「続きがわからないとすれば、今わかっている物語から予測しよう。」
「うん。」
私は、皆に『赤ずきん』の続きを話した。
皆ももうすでに内容は知っていたけど、確認のためにだ。
「アリスは女王のもとに行ったのか?」
雪兎が聞いてきた。積極的に参加してくれている。
「うん。昨日、行ったよ。」
「どう言われた?」
「え、え…と…。あ、赤ずきんをどうするかの話し合いで、とりあえず女王が捕まえて、今日のティーパーティーで問い詰めるって予定を聞いたよ。」
さすがに雪兎を怪しんでいるとは言えなかった。
せっかく、今雪兎も一緒に考えてくれているのに、怪しんでるなんて言えるわけがない。
「そうか…。じゃあ、今日このシルクハットの男がくるってことか。」
「まあ、そんなところじゃないかな。」
「白ウサギって、雪兎のことっすよね?じゃあ、アリスさんと雪兎がティーパーティに行くんすか?」
「そうじゃないか?」
私が皆の話を聞いていると、雪兎が私に手招きをしていた。
席はすぐとなりだったから、私は顔を近づけた。
「あとで話がある。僕の部屋に来てくれないか?」
「わかった。この話し合いが一通り終わったら、行こう。」
「うん。」
雪兎の話というのは、たぶん、時間のことだろう。
もう、タイムリミットは目の前だ。
登り始めたあの太陽が沈んだら、私達ごとこの世界は消滅する。
それまでに何とかしなくちゃ。
でも、全く答えが見つからない。
疑いをかけられそうな人物も浮かばない。
やっぱり思い当たるのは、雪兎だけ。
私は信じたくないけど、全ての都合が合うのは雪兎だけなのだ。
あれ?
でも、何で私はこんなに雪兎を疑いたくないんだろう。
衣食住をしばらく共にしたとは言っても、5日ほどだ。
疑うこともできるはず。
でも、私が疑えないのはやっぱり、雪兎が言ったことが本当だからなんだろうか。
偽造したというのも考えられる。
だけど、やっぱり違う気がする。
きっと、記憶が全て戻れば答えがわかるはず。
でも、どんなに考えても思い出せない。
「アリス、アリス?」
「え?」
「ぼうっとしてたから大丈夫かなと…。」
「あぁ。大丈夫。ちょっと考え事をしてただけ。」
「ならよかった。」
私が話し合いに戻ろうとしたとき、なぜか勝手にドアが開いた。
皆もそれに気づいたらしく、固まっていた。
カイが恐る恐るドアに近づいた。そのときだった。
ドアの影から赤ずきんが現れた。カイは赤ずきんに引きずられ、あっというまに視界から外れた。

