私も慌てて悠太を追いかけた。
皆も私の後ろからついてきていた。


「おい!雪兎!開けろ!」

「なんだい。」

雪兎は意外とあっさりドアを開けた。


「そろそろ真実を話してもらおうか。『赤ずきん』を書いたのはお前だろ。そうだろ?!」

「何を言っているんだい?僕は知らないと言っているじゃないか。」

「とぼけるのもいい加減にしろよ。」

「知らないんだ!僕を拷問にかけたとしても僕は知らないとしか言わないよ。僕はなんにも関係ないんだ。」

「嘘だ。お前じゃなかったら誰だよ。」

「それを考えていたんじゃないのか?」

「考えた結果、お前にたどりついたんだろーが!それに、お前は俺に一度あってんだよな?じゃあ、何で俺は全く思い出せないんだよ。お前が俺に何かしたんだろ?」

「…。」


私は悠太の言葉で、昨日の出来事を思い出した。
昨日、私は雪兎から衝撃の事実を聞かされた。


私と、悠太と、雪兎は幼馴染みだったんだ。


「悠太、聞いて。私と悠太と雪兎は幼馴染みだったみたいよ。」

「じゃあ、余計におかしいじゃねーか!なんで記憶を消す必要があった?なぜ俺らは雪兎のことを思い出せないんだ?」

「そ、それは…。この、呪いのせいよ!だから、記憶がないのよ。」

「でも、この間はおまえ…」

「とりあえず、もう一度考え直そうよ。雪兎も一緒に。」

「は?」「え?」



雪兎と悠太が同時に言った。

「雪兎は、犯人が自分じゃないって言うなら、それを証明するために真犯人を見つけたらいいじゃない。私達も雪兎じゃないなら、別の誰かを見つけなきゃいけないから。」

「わかったよ。」

雪兎は承諾してくれた。悠太は、何も言ってないけど、「仕方ねぇな」という顔をしていたから、私は達は雪兎も一緒にリビングに戻った。



久しぶりに皆が揃った。


「それじゃあ、雪兎。お前は誰が犯人だと考えている。」


悠太が最初に話を切り出した。


「僕は…。わからない。」

「はあ?!てめぇ、ふざけてんのか?今まで一人で部屋に籠って、何も考えていませんでした、ではすませれねぇよ?!」

「ゆ、悠太…。やめて!私はただ、皆でちゃんと話し合いたかっただけなの!お願いだから…、喧嘩なんてしないで…。もう…二度と…。」



私はなぜか涙がこぼれ落ちた。
皆が私を見て固まっていた。


「ご、ごめんアリス…。確かに、ちゃんと話し合う必要があったよな。俺が悪かったよ…。」

「謝るのは…、私じゃ、ないでしょ…。」

「ごめん、雪兎。」

「いや、僕も言葉が悪かったよ。すまない。」


とりあえず、喧嘩は治まった。
ここで、また話し合いを改めて始めた。


「じゃあ、とりあえず、真犯人を見つけなくちゃいけねぇんだよな?でも、手掛かりだと思っていたのが、全部雪兎がやったことなら、全て振り出しだ。」

「それより、もう一枚千切られた『赤ずきん』の続きを見つけなくていいのかい?」

「そうだな。雪兎、お前は知ってるか?」

「僕の推測だけど、アリスのお守りに入っていたなら、君が持っているお守りにもう一枚が入っていると思うだけど?」

「お守りはアリスが持っている。」


私は自分でも顔が青ざめていくのがよくわかった。
冷や汗も出てきた。


「ご、ごめんなさい…。私、家に置いたまま…。」

「えぇ?!」

悠太はありえないというような顔をして、私を見た。