翌朝、私は首に少し痛みを感じて起きた。
昨日、何かあったような…。
でも、全く覚えていない。
まあ、いいか。
私はキッチンに直行した。いつものようにテキトーに朝ごはんを作る。
すると、キッチンには私より先に誰か起きてきていた。
雪兎だった。
「雪兎、今日は早いね。」
「うん…。」
それだけ言うと、また部屋に戻ってしまった。
キッチンには食器を使ったあとがあって、雪兎が自分でご飯を作って食べたのがわかった。
あのとき以来、雪兎は皆と行動を別にしている気がする。
私達が仲間外れにしているんじゃなくて、雪兎の方から仲間外れになろうとしているような…
私は少し雪兎のことを気にしながら朝ごはんを作った。
今日は珍しく、悠太が遅かった。
ハルが最初に来て、そのあとに悠太が起きてきた。
カイは朝が苦手なのか、いつも最後だ。
今日は、この世界が消える日。
だったはず。
早く犯人を突き止めないと。
でも、もうほぼ犯人はわかっているようなものだ。
ただ、私が信じたくないだけで。
私も雪兎が犯人の気はしている。
でも、なぜか犯人にしたくない。
信じたくない。
「ねぇ。みんなは、誰がこの呪いをかけたと思う?」
私は単刀直入に聞いた。
「俺は…。雪兎だと…。」
「俺もです…。」
「俺もだ…。」
皆、意見は同じだった。
「やっぱり、そうだよね…。雪兎に口止めされてたことを言うけど、雪兎には言わないでね。」
「「うん。」」
「実は、あの雪兎が持っていた時計は、タイムリミットを表していて、雪兎が言うには今日、自動的に呪いがとかれる日なんだって。」
「は?だったら、俺ら何のために犯人探ししてたんだよ。」
「その、呪いがとかれる方法が、この世界ごと消滅する。つまり、私達も消滅する。」
「!?」
「じゃ、じゃあ!今日、呪いをとけなかったら、俺達は死ぬんすか?!」
「そう…。」
「じゃあ、今すぐに雪兎に自白させに行こう!時間がねぇじゃねーか!」
「待って、悠太。私…。雪兎が犯人って、信じたくない…。」
「今はそんなお前のわがままを聞くひまはねーよ!皆、死ぬかも知れねぇんだぞ?」
「で、でも…。」
「俺は今行く。」
「あ…。悠太…。」
悠太は雪兎の部屋へと歩いていった。