そして、あっという間に昼休みは終わった。


久しぶりに一緒に弁当が食べられると期待したのに、悠太は心配させるようなことしか言わなかった。


もしも今日、この時間が悠太との最後の時間だったら?


そう思うと怖くてじっとしてられなさそうだった。


だから私は全部嘘だと自分に言い聞かせ、あの話は忘れることにした。



そして、放課後になった。


私はすっかりあの話を忘れてしまっていた。


私はさくらと一緒に帰った。


「それでね、あの先生、私がやってないのに私を怒ったんだよ?!あり得なくない?!」

「あはは。あれは面白かった!あの先生、誤解激しいよね!」

「ホントだよ…。最悪だわ…。あ、ねえねえ!やっぱり、明日の放課後にアリス行ってくれない?」

「え?どこに?」

「旧校舎の図書館にだよ!」

「あ!!そうだよ…。大変。忘れていた…。」

「朝話したのにもう忘れてたの?」

「違う。悠太…。」

「どうしたの?」


私はすっかり忘れていた。


悠太が明日には記憶から消されているかもしれないことを。


「ねえ、悠太知ってるよね?」
「うん。アリスの彼氏でしょ?」

「ふぅ…。よかった。消されてない。お願いだから、絶対に悠太のこと忘れないで!」

「どうしたの?急に。」


私は悠太との話を全て言った。


「記憶から…?確かにそれだったら成り立つ。じゃあ、私達が知らないうちに他のクラスの人が記憶から消されてたりして…。うわ!怖!」

「だから、忘れないで!」

「うん。わかった!」


私はさくらに悠太を忘れないように言ってから家に帰った。


その日の夜は心配でほとんど眠れなかった。