私は部屋に入ると、ベッドに寝転がった。
はあ…。
私が雪兎の秘密を1つ知ってしまってから、この家にいる仲間の間に亀裂が入ってしまった。
私はただこの世界から出たかった。
だから、少しでも情報を集めたくて雪兎を問い詰めた。
私がした行動は間違っていたの?
亀裂が入ってしまったら、解決するのが少し難しくなってしまう。
じゃあ、やっぱり私はあのとき、聞かなければよかったのかな?
あの時計を拾わなければよかったのかな?
でも、拾わなかったら、きっと誰かが拾って、私と同じようなことをしただろう。
もしかすると、皆に話してしまってたかもしれない。
じゃあ、私は拾ってよかったのかな。
それじゃあ、私は時計を渡さなければよかったの?
でも、そうすれば雪兎はずっと不安に駆られていただろう。
はあ…。
雪兎は一体、何者なの?
雪兎は何を隠しているの?
ふと、私はさっき雪兎が言った言葉を思い出した。
『ふーん。なぜ表情でそう思ったんだろうね。僕と君はまだ会って5日しか経ってないのに。』
まるでその言い方は前から悠太を知っていたみたいだ。
まさか、私がエリナ先輩を忘れていたみたいに、悠太もこの呪いのせいで雪兎と前から会っていたのに忘れているってことかな?
だとしたら、悠太が雪兎のことを思い出せば、雪兎が何者なのかわかるかもしれない。
すぐに悠太に言わなきゃ!
私は部屋を出ようと飛び起きた。
そして、ドアを開こうとした。
だけど、押しても引いてもドアが開かない。
鍵はかかってないのに。
「ニャー。」
またあの猫だった。
私はあることに気づいた。
猫の目が、青い光を放っていたのだ。
そして、その光はドアにあたっていた。
「あなたが…、ドアを…?なぜ?開けてよ。」
「ニャー。」
私は猫の目を塞ごうと手をかざした。
そのときだった
「やめな。」
「え…?!しゃ、しゃべったあああ?!」
すると、猫はどんどん大きくなっていった。
そして、徐々に人の姿になっていった。
私は口を開けたまま、唖然とその光景を見ていた。
「ははは。驚かしちゃったかな?僕は君を導くために来たんだ。」
「あ、あ…。えと…。な、名前は…?」
「名前なんてないよ。君が勝手につけちゃって。」
と言われても、なんてつければいいか…。
もう、テキトーだあっ。
「じゃあ、チェシャ。」
「あはは!それって、『不思議の国のアリス』に出てくるあれ?」
「うん。いいでしょ?」
「もちろんオーケーだよ!君、センスいいね!」
「は?」
「あ、もしかして君、名前アリスって言うの?」
「うん…。」
「やっぱり!」
なぜチェシャが私の名前を知ってるのか不思議に思った。

