雪兎に一通り話し終わると、カイと、ハルが起きてきた。
そして、カイとハルにも猫が見えるか聞いたが、二人には見えていなかった。
つまり、私と雪兎しか見えないのだ。
私にはこれが何かしらの意味があるような気がした。
それに、私と雪兎には猫に触れることができるのに、見えない三人には触れることができなかった。
その後、猫は突然歩き出し、すうっと消えていった。
幽霊でも見てしまった気分だ。
私達は朝ごはんを食べながら、あの猫について話し合いをしていた。
「俺は最初、あの猫は何かアリスに伝えようとしているかと思ったんだ。」
「でも、その猫はとくに伝えようとしているわけじゃなかったの。」
「だから、何なのかってなったんだ。」
私と悠太の話を皆は真剣に聞いていた。
「でも、アリスと雪兎だけに見えるって言うのは何か意味があると思う。」
「二人に何か共通点とかあるんじゃないっすか?」
ハルの言葉に、皆で私と雪兎の共通点を探し始めた。
「うーん。あ!雪兎とアリスは何か秘密を共有したらしいな!それに何かあるんじゃないか?何か心当たりはあるか?」
私と雪兎は目を見合わせた。
秘密を共有したって言っても、そこまで大きいことではない。
それだけのことで猫が何か関係しているとは思えない。
雪兎も同感らしい。
「いや…。心当たりはとくに…。」
私と雪兎の共通点…。
何だろう…。
すると、ハルが突然叫んだ。
「不思議の国のアリスっすよ!」
「「え?」」
皆同時に言った。
「ほら、アリスさんはそのまま『アリス』っすけど、雪兎は『ゆきうさぎ』って書いて、雪兎っすよね?つまり、アリスを穴に誘い込んだ白うさぎだとすれば、ですよ。」
「でも、この世界はあくまで『赤ずきん』の世界なんだよ?それと『不思議の国のアリス』にどんな関係性があるんだよ。」
「んー。それは俺にもわからないっすけど、世界観は似てるんじゃないっすか?」
「まあ、そうだけど…。」
カイは納得してないらしい。
でも、私はハルの考えは当たっていると思う。
でも、なぜ『不思議の国のアリス』がこの世界に入ってきたのかはわからないけど。
だけど、何かしらの理由で混ざったとして、あの猫はそれとどんな関係があるのだろう…?