翌日、私はまた日が上る前に起きた。
やっぱり、習慣になっている。
私は昨日と同じように朝ごはんを作った。
そして、今日は悠太が一番に起きてきた。
「あ、悠太おは…!?」
私は突然昨日のあのことを思い出した。
恥ずかしくなり、悠太から視線をそらした。
「おはようアリス。」
私は必死に無視する。
「おい。無視すんな!」
悠太はそう言うと、私の肩に手をおいた。
「あ…。ちょ、い、今は手がはなせないの!」
「おい…。もしかして、昨日のこと思い出したのか?あれは仕返しだ!俺のことあんな風に言うからね。」
「だ、だからって…。き…あ、あれはないでしょ!」
「ははは。ヤバイ、お前かわいーな!」
「~!」
悠太は私をからかって遊んでる。
もう、恥ずかしくて逃げ出したい!
「ニャー。」
え…?
猫の鳴き声が聞こえ、足元を見ると、昨日のあの猫がいた。
「あ、ほら、悠太。この猫が昨日私が話した猫だよ!」
「はあ?どこに猫なんているんだよ?お前、幻覚見てんのか?」
なぜか悠太に嘲笑われた。
「悠太こそ、その目節穴なの?」
「見えねーもんは見えねーよ。お前にしか見えない猫なら、そいつはアリスに何か伝えようとしているんじゃねーの?」
「そうか!」
私はしゃがんで、猫を撫でた。
猫はとくに秘密を持っているようでもないし、伝えようとしているわけでもないらしい。
じゃあ、何のために?
やっぱり、ただの迷い猫かな?
「何か伝えようとしている様子はないよ?」
「そうか…。じゃあ、何なんだろうな…。」
私と悠太が猫の正体に悩んでいると、雪兎がきた。
「おはよう…。相変わらず早いね、君達。あれ?猫?」
「「?!」」
私と悠太は驚いた。
雪兎にもその猫が見えるのだ。
「ゆ、雪兎。お前、猫が見えるのか?」
「ん?ああ。普通に可愛らしい猫だよ?」
「あの猫、悠太には見えないらしいの!」
「え?」
そこでやっと雪兎もその猫がおかしいことに気づいた。
私はこの猫が昨日見た猫であることも伝えた。