私がリビングに戻ると、皆が私を見ていた。
「雪兎と何を話していたんだ?」
悠太が私に聞いてきた。
どこか不安そうだった。
「さっき皆で話していた会話を教えただけ。」
「嘘だ。アリスと雪兎の言い合いが聞こえた。雪兎は呪いをとく方法を知っているのか?」
「だから、私はさっき話したことを…」
「アリス!俺は…俺達は、アリスも雪兎も疑いたくないんだ!本当のことを話してくれよ!」
「な…んで…、私が問い詰められなきゃいけないのよ…。私は雪兎の秘密を知ったから、取り引きしたのよ!それを言わないという取り引きをね!だから言えない!もうやめて!」
「アリス、話せよ!仲間だろ?」
「もう、やめて…。私に関わらないで…!」
私は外に飛び出した。
暗くなり始めた森の中をひたすら、道もわからないのに走り続けた。
あの状況だと、私はいつ口を滑らすかわからなかった。
逃げるのが手っ取り早かった。
でも、もう1つ逃げた理由があった。
それは、悠太の目付きだ。完璧に疑っている目だった。
あんな目を向けられたことなんて無かったのに…
私のことを信じられないなんて、最悪だ。
私は一本の木の下に座った。
もう、帰り道もわからない。
赤ずきんがいつ現れるかもわからない。
ただ、死を待つだけ。
全部雪兎が悪い。
全て話さないから。口止めするから。
だから私までこんな目にあわなくちゃいけなくなっちゃったんだ。
雪兎が…犠牲になって、呪いをとけば…
え?
私、今…
最悪だ…。
仲間に対してこんなこと思うなんて…。
すると、ガサガサと音がした。
誰かがいる。
「だ、誰?!」
ガサガサ…
「悠太?雪兎?」
ガサガサ…
「誰よ!まさか…赤ずきん…?!」
ガサガサ…
そして、それはついに姿を現した。
「おばあさんを殺シタやつハ許サナイ。」
「あ…あ…。赤ずきん…。わ、私だよ…。ほら、お花を摘んであげた方がいいよって言った…。」
「許サナイ…許サナイ…許サナイ…」
「ああ…。雪兎の部屋になんて行かなければよかった…。全部、雪兎のせいだ…。」
「ユキト…?」
赤ずきんが雪兎に反応した。
「あなたは、雪兎を知っているの?」
「ユキト…ユキト…ユキ…ト…。私ヲ…」
赤ずきんが何かを言おうとしたときだった。
「アリス!来い!」
「あ!ま、待って!」
悠太が私の手を掴んで走り出した。
あと少しだったのに…。
だけど、赤ずきんは追いかけてこない。
ずっと空を見上げ、何かを考えているようだった。
そして、2分ほど走り続け、家に着いた。
「はあ、はあ、はあ、お前、いきなり飛び出すなよな…。」
「ご…めん…。」
皆、私を心配そうな目で見ていた。
雪兎以外。
雪兎はまだ部屋に隠っているらしい。

