紅ずきん



その後、私達は昼ごはんを食べつつ、本の続きを考えていた。


そうしているうちに、雪兎が帰ってきた。


「お!雪兎!無事だったか。よかった。」

「あ、ああ。」


雪兎はテキトーに返事をすると、自分の部屋に急いで行ってしまった。


私はこっそり雪兎のあとをつけて行った。


部屋に入ると、ドアを閉め、鍵をかけてしまった。


私はドアに耳をあて、中の声を聞いていた。


「くそっ!無い!何でだ!いつ落としたんだ。もしもあれがバレたら…。ああ!見つけないと!」

雪兎は何かを探しているようだった。


私はドアをノックした。


「雪兎、ちょっといい?聞きたいことがあるの。」


私が言うと、ドアが開いた。

「な、何?」

雪兎は平然を装っているが、バレバレだ。


「雪兎の探し物って、まさかこれ?」

「ああ!!」


私は雪兎が落とした時計を見せた。


「やっぱりね。雪兎、あなたは私にこの世界には時計がないと教えたはずよね?じゃあ、何故、私の手には時計があるのかしら。」

「か、返してくれ!それと、その時計のことは内緒にしてくれないか?」

「いいわよ。内緒にしてあげる。でも、この時計のことを詳しく教えてくれたらの話だけどね。」

「あ、アリス…。君はこんな人だったっけ?」

「ふざけないで。私はもとの世界に戻りたくて必死なの。何か秘密があるなら教えて頂戴。」


「…っ。わ、わかったよ…。じゃあ、中に入って。さすがにこんな場所で話したら皆にバレてしまう。」


私は雪兎の部屋に入った。


雪兎の部屋も私の部屋と対して変わりはなかった。


「それで、その時計のことだけど。」

「これは、ただの時計じゃないんだ。呪いがとけるまでのタイムリミットを示しているんだ。」

「え…?じゃあ、呪いはほっとけば勝手に消えるの?」

「うん。でも、呪いが消えるとき、この世界が消滅する。つまり、この世界にいる人も皆死んでしまうんだ。」

「嘘でしょ?!じゃあ、それまでに呪いをとかないといけないって言うの?!」

「うん。時間はあと3日。それまでに呪いをとかなくちゃいけないよ。」

「それだけ?」

「え?」

「それだけしか知らないの?呪いをとく方法を知っているんじゃないの?」

「知らないよ。ごめん。」

「っ。」



嘘だ。
雪兎は絶対に知ってるはず。すべてを。


「何で逃げるの?!別に警察に行こうとか、殺すとか言ってるわけじゃないんだよ?!」

「本当に知らないんだ!やめろ。もう、君とは言い合いたくない。出ていってくれ。それと、時計を返してくれ。」


いつもと違う雪兎の声に驚いた。
突然大人になったようだ。


「い、いや!全部話すまで私は出ていかないし、時計も返さない!」

「いい加減にしろよ。返せと言っている。こっちにも事情があるんだ。」

「あ…」


声が出せなかった。
あんなに怖い雪兎を初めて見た。


私は動けなくなってしまった。そして、その隙に雪兎は私から時計を奪った。


「このことは忘れてくれ。そして、誰にも言うな。わかったら出ろ。」

「…。」


私は雪兎の部屋から出た。