「アリス?二階にいるの?」
雪兎の声が聞こえて、我に返った。
「何してたんだ?」
「あ、この猫が入ってきたから、鍵がしっかりかかってたかチェックしてたの。」
「え?猫?どこにいるんだ?」
「え?ほら、そこに…」
私は足元を見たが、そこには何もいなかった。
でも、足には猫の毛がくっついていた。
「さっきはここにいたの。ほら、猫の毛が付いてるし。」
「本当だ…。消えた猫…?こんなこと初めてだ。何が起きているんだ?」
雪兎の言葉に少し背筋に寒気がした。
こんなこと初めてだ。って…。雪兎でもわからない現象が起きたって…。
怖すぎる。
とりあえず、私達はリビングに戻って、今起こったことを皆に話した。
「猫?まさか、その猫は赤ずきんと何か関係のある猫なんじゃないか?だとしたら、アリスが狙われる。」
「悠太、待ってよ。だって、その猫はとくに危害を与えるわけじゃなく、ただ現れて消えた。ただそれだけよ?何も関係ないよ。」
「いや、アリス。悠太が言っていることも間違いではない。この世界は何もかもあり得ないことが起きるんだ。だから、用心はしていた方がいい。」
「わかりました…。」
「僕、ちょっと外に行ってくる。」
突然雪兎が言った。
「何しに行くんだ?!食料はあと1ヶ月分くらいあるだろ?」
「少し気になることがあるんだ。」
「お前がいなくなったら俺達はどうやってこの世界を生きていけばいいんだよ?!お前だけが頼りなんだ。お願いだ。そんな危険なことはやめてくれ。」
「大丈夫。」
雪兎はそう言うと、カイのことも無視して、家を出ていった。
すると、雪兎が何かを落とした。
「あ!雪兎、待って!何か落とした…」
私は落としたものを見た。それは、時計だった。
「な…んで…?時計はないはずじゃ…。」
皆は雪兎の気をとられ、時計には気づいていなかった。
雪兎は、何か隠している…。
私はそう確信した。

