紅ずきん



そういえば、昨日は辛そうだったけど、今日は雪兎も話し合いに参加してくれている。



「やっぱり、理由がわからないと、誰の呪いかもわからないな…。物語からの推測だけじゃ。」


頭のいい悠太さえ悩んでいる。


私はまだこの世界のこともよく知らないし、推測しようにもできない。


赤ずきんに直接聞きたいけど…
それは自殺行為に等しい。


まず、作者は現実世界にいるのか、この世界にいるのか、はたまたもう亡くなってしまっているのか。
それすらもわからない。


仮に、もし亡くなってしまっているのなら、私達は呪いをとくことができない。


そうなった場合はどうしたらいいんだろう…。


考えれば考えるほど、最悪な方向に行ってしまう。


それだけは避けたい。


「あのー。外に出て、少し散歩したいんですけど…。」

「アリス、それはやめた方がいいよ。」


私が言うと、すぐにカイが答えた。

「どうしてですか?」

「赤ずきんは神出鬼没。まるで瞬間移動でもしているのかと思うくらいどこからでもすぐに現れる。本当は家の中にも現れるんだけど、この家は特殊だから大丈夫なんだ。」

「そ、そうなんですか…。」

「だから、やめた方がいい。家から出るときは、どうしてもというときだけだ。」

「わかりました…。」


簡単に外にさえ出られない。
この世界はそれほど危険なんだ…


これじゃあ、私は一向にこの世界のことを知ることができない。


でも、死ぬよりはましか…


私は「ふう」とため息をつき、椅子の背もたれに寄りかかった。


そのときだった。

「ニャー。」

「え?!」


声のした方を見ると、猫がいたのだ。


でも、おかしい。
窓もドアも鍵を閉めていたのに、どうやって入ってきたんだろう。

まさか、どこか1つだけ閉め忘れていたとか?!

だとしたら一大事だ。
赤ずきんがいつこの家の中に入ってくるかわからない。


私は皆が話し合いをしている隙に席を立った。


家中のドアや窓を見て回ったけど、どこにも閉め忘れているところはなかった。


じゃあ、あの猫は一体…?


「ニャー。」

いつの間にか私の足元にぴったりとより沿っていた。


「ひゃっ!」


ついびっくりして、声をあげてしまった。


猫は円らな瞳で私を見つめていた。


その瞳に惹かれて、私はしゃがんで猫の頭を撫でてあげた。




なんだ。
普通の猫じゃん…

ビクビクして馬鹿馬鹿しい。
なんで幽霊だとか思っちゃったんだろう。


「ミャー」


猫は甘えるような声で鳴きながら、私の足に頭を擦り付けた。