紅ずきん


「おい、早く開けよう!」


みんなにも聞こえていたらしい。


雪兎が慌ててドアを開けに行った。


私も気になり、雪兎についていった。


雪兎がドアを開けると、20歳くらいの男の人がいた。


「た、たすけてくれ!中に、入れてくれー!」

「入って!」

「ダメだ!閉めろ!」


私が言うと、後ろから悠太が叫んだ。


「何でよ!助けてって言ってるのよ?!」

「早く閉めろ!あいつだ!」


悠太はそう言いながら遠くを指差した。


その方向を見ると、真っ赤な頭巾を被った少女が見えた。


あれは…


「赤ずきん?!」


私が叫ぶと、雪兎は慌ててドアを閉めようとした。

でも、男の人がドアを開けようとして閉めることができない。


「お願いだ、入れてくれ!!」

「ダメだ!死にたくないなら速く逃げろ!」

「もう無理だ!お願いだ!助けてくれぇ!」


男がそう叫んだとき。


男は後ろから肩を捕まれ、振り向いた。


そこには赤ずきんがいた。


そして、ニヤリと笑うと男の腹を引き裂いた。


「きゃあああああ!」

あまりのことに私は叫んだ。
返り血が私達に降りかかった。


人が、殺された。


死んだ…


「おばあさんを食べた悪イ狼は許サナい。」


赤ずきんは、家の中に入ろうとした。
その瞬間、雪兎がドアを閉めた。


私はその場に膝から崩れ落ちた。


「ひ、人が…。し、死んだ…。赤ずきん…が…。こ、殺し…。」

「アリス。落ち着け。あれが、日常茶飯事なんだよ。あのままじゃ、俺達まで死んでたんだ。」

「ひ、人が…。」

「アリス!落ち着けって言ってるだろ!」

「まあまあ、悠太。アリスも初めてみる光景だから気が動転しているんだよ。今はそっとしてあげよう。」

「カイ…。」


悠太は黙ってくれたけど、私はまだ現実が受け入れられてなかった。


血が…。


腹が…裂かれた…。


でも、不思議と吐き気はない。怖いはずなのに、涙も流れない。


私って、こんな人間だったのか…


しばらくして、段々落ち着いてきた。

「アリス。もう大丈夫か?」

「悠太…。うん。落ち着いた。でも、もう眠りたい。疲れちゃった…。」

「そっか…。じゃあ、アリスの部屋に案内するよ。」

私は悠太に案内され、家の奥へと進んだ。


そして、一番端の部屋の前で止まった。


「アリスの部屋はここ。俺は隣の部屋だから。何かあったら呼べよ?」

「うん。ありがとう…。じゃあ。」

「おやすみ。」


私は部屋に入った。


中はごく普通の部屋だった。豪華でなければ質素でもない。