何か嫌な思い出でもあったのかな。
私は雪兎をそっとしておくことにした。
みんなは、「赤ずきん」を読み始めていた。悠太はやっぱりすでに読んでいたらしく、みんなに説明をしていた。
「まず、赤ずきんはここで狼に恨みを抱く。だけど、自分の手で殺したはず。そうすれば少なくとも恨みは無くなるはずなんだ。だけど、赤ずきんはそのあとも人を殺している。」
「やっぱり、悠太もそこが気になるか。俺も不思議に思ってたんだよな…。」
カイと悠太は物語から呪いをとく方法を考えていた。
でもまず、これ、何の呪いなの?
誰が?何のために?
それがわからないと。
「この呪い、誰が何のためにかけたの?まず、何の呪いなの?」
「今のところ考えられるのは、この呪いはなんらかの理由で赤ずきんがかけた呪い。おばあさんを亡くし、怒り狂ってかけたんだろう。」
カイが答えてくれた。
「え、でも、そうしたらこの赤ずきんに知能や感情があるってことになるんじゃないっすか?赤ずきんはあくまで物語の中の者なのに、物語を越えてしまった。ってことになりますよ?」
ハルが言うのも確かだ。
カイが言うことが仮に本当だとしたら、おかしいところが幾つかある。
ハルが言ってることもそうだし、怒り狂ってかけたのなら、狼を殺したあとも人を殺したのはどうして?
解決方法が全く浮かばない。
「それに、何故本の世界から飛び出したのかもわからない。本の世界の話が現実になるのもおかしい。」
皆、色々な意見がある。
何かがおかしい。
みんなが言ってることは確かにありえるけど、何かが違う気がする。
何かが違う。
「うーん。何かが違う気がするんだけどなぁ…。根本的な何か。」
「俺もだ。他の考え方もしてみるか。テキトーでもいいから。逆に狼は生きていて、狼がかけた呪いとか!」
「悠太、そんなのありえないよ。狼は腹を裂かれたのよ?絶対に死ぬわ!」
…ん?
考え方を変える…?
ああ。
そっか、考え方を根本的に変えなきゃ。
「そうよ…。これは赤ずきんは全く関係ないわ!赤ずきんはむしろ被害者。操られているのよ。」
「アリス、何言ってんだ?」
「つまり、この呪いをかけたのは作者よ。『赤ずきん』を書いた人。」
「そうだな。そうだとしたら色々可能性も増える。」
「だから、作者が誰かを突き止めなくちゃいけない。」
だけど、この本には何故か作者の名前はない。
赤ずきんとは全く関係ないマークがあるだけ。
まるで誰かのノートのような見た目だ。
「私が思うに、作者は私達の学校と関わりがあるのは間違いないわ。だって、この怪談は私達の学校にしかないんだもの。」

