「あ、あなたは…?」
「僕は雪兎。」
「あなたもここに来て、出られなくなったの?」
「いや。僕は一度、この世界を出たことがある。でも、もう一度入って、迷い込んだ人を助けているんだ。」
「じゃ、じゃあ、つい最近男子生徒が来なかった?身長は私より高くて、髪は少し茶髪が混じってる人!」
「あー!見たよ。今、僕の家に隠れているはずだよ。」
「よかった…。」
悠太はまだ生きているんだ…。
安心したのもつかのま。
白ずきんのことを忘れていた。
今頃、白ずきんもおばあさんの家についているはず。
あとは狼と鉢合わせないように願うしかない。
「会いませんように…。」
「無理だよ。物語を変えることはできない。」
「え?!」
衝撃的な言葉だった。
じゃあ、どうやってもとの世界に戻ればいいの…?
話を変えられないんじゃ、バッドエンドに変わりはない。
「じゃあ、どうやってハッピーエンドにしないといけないのよ!」
「それは…。わからない。皆、それを探している間に死んでいってしまった。」
「じゃあ、私もここで…。」
「いや、それは大丈夫。僕の家にいれば安全だから。」
「ならいいけど…。あなたがこの世界から出たときはどんな方法でやったの?」
「今、君がやろうとしていた方法。でも、一度誰かが脱出できたら、絶対にその方法は使えない。もうすでに選択肢はほとんど無くなってしまったんだ。だから、僕が考えてる方法は1つ。この呪いをとく。それしかないと思っている。」
呪いを…とく…。
白ずきんの呪い。
いや、赤ずきんか…。
そのとき。
「いやあああああ!!!」
遠くで悲鳴にも似たような声が聞こえた。
「白ずきんが狼と鉢合わせたようだ。そろそろ赤ずきんになるはず。これから先は気を付けなくちゃいけないよ?」
「うん…。」
私はもう、全てがどうでもよくなってしまった。
私の計画が全て無駄だと知り、他の方法を考えれと言われても、もう何も思いつかない。
「僕の家に行こう。君の探している人もいるから。」
「うん…。」
私は雪兎と呼ばれた人に手を引かれ、家に向かった。