「ここ…。どこ…?」
どうやら森の中のようだった。
目の前には家がある。
すると、家のドアが開いた。
「お母さん、行ってくるね。」
出てきたのは、真っ白い頭巾をかぶった少女。
「白ずきん」だ。
早くも物語が始まってしまった。
まずは、白ずきんを少し足止めしないと。
できるだけ狼と白ずきんを会わせないようにしないといけない。
私は白ずきんのもとへ向かった。
「あ、あの。どこに行くんですか…?」
「今から、おばあさんのお家にお見舞いに行くの。」
「そ、そうなの。何を持っていくの?」
「おいしいパンを作ったから、あげるの。」
「他にもいっぱいあげた方が、おばあさんも喜ぶと思うよ?えっと…、例えば、あの花とか!」
「わあ!綺麗!」
どうでもいい話で少し足止めした。
花を摘んでいる間に狼を止める!
「たくさん摘んで、花冠とか作ったらいいと思うよ?あと、花束も作ったり。」
「うん!そうする!お姉さん、ありがとう!」
どうやら私のいった通りにするらしい。
たぶん、ここで少し時間を食うだろう。
私は急いで道を進んだ。
とてもわかりやすく一本道があって、全く迷わずに行けた。
だけど、しばらく歩いても家一軒も見当たらない。
そのとき。
ウォォォォン…
狼の声だ。
「お、狼だ…。どこ…?と、止めなきゃ…。」
すると、狼は突然現れた。
鋭い目付きで私を威嚇している。
リアルな狼だ。
「生き残るため、助けるため、あんたを止めなきゃいけないの!私についてこい!」
私はできるだけ狼がおばあさんの家に行かないように、とにかく遠くに走った。
狼は私についてきている。
あとは撒けば、狼はおばあさんの家になんて行けるわけない!
私は必死に走った。
それでも少しずつ距離が縮まっていく。
「ヤダ、ヤダ…!死にたく、ない…!」
私は木々の間を走り抜き、撒こうと頑張った。
だけど、相手は野生の狼。
森の中を走るなんて、日常茶飯事。
もう、すぐ後ろにいた。
「いやあ!はあ、はあ…。死にたくない!」
もうダメだ…
そう思ったときだった。
誰かに手を捕まれ、草むらに入った。
「はあ、はあ、だ、誰…?」
「しーっ!君、なんて無茶なことするんだよ。」
その人は、髪が真っ白で、私より2歳くらい年上に見える男の人だった。