腕の中に顔をうずめているが、隙間から見える顔はひめの名前に相応しいくらい整っている。


へぇ、1年にこんな可愛い子いんだ。
拓矢ならすぐに情報仕入れて来そうなのに、珍しいな。



女達から逃げていることも忘れ、おひめさんの寝顔に魅入る。





ガラッ


「蓮央〜、いる〜?」


しばらくして、そろそろ最終下校時間になる頃に拓矢の声がした。

おひめさんを起こさないよう、静かに離れ出入口に向かう。



「ここだよ」


「あ?なんでお前そんな嬉しそうなんだ?
気色わりぃ……」



……顔に出てたか。

まぁ、おひめさんの事は黙っておくかな。



「なんでもねぇ、帰っぞ」


「だからニヤけんなって」