ある程度の必要なものを鞄に詰め、陸斗の家に向かう。

そこまで遠いわけではないけど、俺が住んでいるところから電車で30分くらいかかる。

電車の窓から見える外はどんどん栄えていく。

「優希、久しぶり」

陸斗が住む家の最寄駅に着き、陸斗に連絡を入れよう携帯を出すと頭の上から声をかけられた。

「うわ!陸斗!迎えにきたのかよ。相変わらず過保護だなぁ〜」

「家をでたって連絡が来た時たまたま外にいたから、ちょうど良いから待ってただけだよ。」

「そういうことね。びっくりしたわ〜」

「優希また背伸びた?もうこれ以上僕を抜かしていくなよ〜」

「まだまだ成長期ですから〜!」

そういうと陸斗は楽しそうに笑う。
久しぶりに会うとやっぱり安心する。
小さい頃は、クソ女が仕事で忙しかったから甘えるなんてことできなかった反動なのかこの歳になっても陸斗には素直に甘えられる。

陸斗とクソ女が夫婦だったときもクソ女よりも家にいる事が多かったし。

気を張ることもなく自然体でいられる。
他愛もない話をしながら陸斗の家に向かう。

陸斗の家は最寄駅からもそう遠くはない。歩いて10分はかからない。

物欲がほとんどない陸斗曰く、「家くらい良いところに住みたいんだよ〜」との事だ。

芸術センスがある人の頭の中って不思議だ。