本当のわたし

「なっちゃん。あのさ、ありがとう!あとさやっぱり私…」

保健室を出て歩き出すと三木が何か言いたげな顔しながらにお礼を言ってきた。

海に行きたいけど、倒れてしまった手前言えないんだろうなぁ〜。

だから俺はわざとらしいくらいに明るい声で
三木に声をかける。

「みっちゃん!早く行かないと海で夕陽見れないぞ?」

「へ?み、みっちゃん!?」

思っていた以上に間抜けな声を上げる三木に思わず吹き出してしまいそうになるけど、そしたら三木が拗ねてしまいそうなのであえていつも通りに接する。

「あれ、思ってた反応と違う」

「みっちゃんってなに!?」

「俺が夏川だからなっちゃんなんでしょ?だったら三木はみっちゃんじゃん!」

「なにそれ!小学生みたいじゃん!」

そう言って飽きられたように笑う三木の手を引いて歩きだす。

たぶん今の三木に電車は無理だと思う。
三木の横で眠りにつく前たくさん三木の病気に事について調べたからなんとなくそう思った。だから今日だけ特別、大通りを目指して歩く。

「なっちゃん、駅はあっちだよ?」

「ヘイ!タクシー!」

「え?タクシー?今日あたしあんまりお金持ってないよ!?」

「大丈夫、大丈夫!俺が持ってるから!」

「そんな悪いよー!」

「いいの〜!いいの〜!勉強を教えてくれたお礼!」

もうすぐ夏休みな事を察したかのようにとんでもない大金を振り込んできたあのクソ女に久しぶり感謝した。マジで陸斗と再婚する前以来くらいだわ。

まだ何か言いたげな三木を無理矢理タクシーに乗せて海へと向かう。
三木の顔はワクワクとドキドキでいっぱいだった。ずっとそうやっていてほしいと改めて思う。

タクシーに乗ってもなるべく明るい声で三木に話しかける。