本当のわたし

「夏川くん?」

矢作先生の声で目が覚める。
気付いたら寝てしまっていたようだ。

「もうみんな帰っちゃったよ。夏川くんはどうするの?」

「俺は三木が目を覚すのを待ちます。今日、放課後一緒にいる約束をしたので。」

そういうと矢作先生はクスクスと楽しそうに笑って

「わかった。青春っていいなぁ〜!」

と言われた。そういうところ三木とそっくりだと思う。

「俺と三木の鞄とってきますね。」

そう言って立ち上がり、教室へと向かう。

鞄を持ち保健室の扉を開けようとすると聞こえてきた矢作先生と三木の会話。

「よかった!!!今、夏川くんが鞄を取りに行ってくれてるわよ」

「そっか。」

「ねぇ美月?」

「んー?」

「私はどんな美月も大好きだよ。美月が生まれた時からずっと私の大切な妹だよ。」

「みなちゃん、ありがとう。」

「事情は先生方も知ってるから今度からテストはここで受けることになったから。」

「わかったよ。」

三木の最後の「わかったよ。」があまりにも寂しそうで悲しそうだったから俺はなるべく不自然にならない程度に明るく扉を開けて三木に声をかける。

「三木、お待たせ!」

「あ、なっちゃん!ありがとう!」

三木は屈託のない笑顔で俺に目を向けた。
さっきあんな事を考えていたからその笑顔にドキッとする。

だけどなるべく冷静に平然なふりをして会話を続ける。

「三木もう大丈夫なのか?」

「うん!大丈夫だよ!一緒に帰ろう!」

「こら!美月!無理しちゃダメだよ?」

「わかってるよ〜!」

「相変わらず返事だけは良いんだから」

「行こう!なっちゃん!」

三木は俺の腕を引いて保健室を出た。