『や~、ご苦労様でした。暑かったでしょ?』
戻ってきた”鬼”を”口”がねぎらう。
”鬼”が返事をすることはなく、”口”は黙って”鬼”を頭から飲み込んだ。
いくら自分たちを追い回した敵であっても、”鬼”の頭が消えていくときには不快感がした。
幸い、吐きそうになるところまではいかなくて、ほっとする。
”鬼”と一緒に戻ってきた紗希のもとには、彩芽が駆け寄っていた。
「……松井さん」
声をかけた彩芽の目には、戸惑いと優しさが映っている。
迷いながらも、声をかけずにはいられなかった____そんなところだろう。
友里のように直接ではないけれど、彩芽も紗希を見殺しにした。
未央も、友里にすがりつく紗希を助けにいこうとさえしなかった。
あのときは仕方なかった。
紗希の側からすれば、こんな言葉は言い訳にしか聞こえないだろう。


