未央と晋吾が教室に着くと、紗希をのぞくのこりの全員はすでに集まっていた。
友里は誰の顔も見たくない、というように顔を両手で覆って机に伏せている。
彩芽も大翔も、苦い表情だ。
昇は例によって窓際に座っているので、こちらからは逆光で顔が見えない。
ただ、いつものように足を机に上げてわざと行儀を悪くしない辺り、昇も傷ついていると思っていいのだろう。
黒板の前には、ふよふよと”口”が浮いている。
上機嫌そうな口元は、未央たちを挑発しているように見える。
だが、今はその挑発にも乗る気にならない。
だってもうすぐ、仲間が一人死ぬのだから。
滝沢が”口”に食べられるところを目撃したみんなは、未央よりずっとそのことの恐ろしさがわかっているに違いない。
誰もしゃべりだすことはなく、重い沈黙。
そして、ドアが開かれ、”鬼”が紗希を連れて入って来た。


