最悪の事態が起こってしまった……。
逃げないと。
頭ではわかっていても、体が反応してくれない。
力が入らず、思わず座り込みそうになる未央の体を、誰かが支えてくれた。
「晋吾……」
晋吾は何も言わずに未央を立ち上がらせると、走り出す。
だが、未央が後を追ってこないのに気付くと、また戻ってき、今度は未央の手をとって走り出した。
「振り返んなよ」
晋吾が短く忠告する。
振り返ることで、未央の走るスピードが遅くなるのを恐れてのことだろう。
だが、禁止されるとやりたくなるのが人というものだ。
未央もその例に漏れず、ちょっとだけ、と振り返ってしまった。
手を引かれながら後ろを振り返って、未央は衝撃の光景を目にした。
「え……」
すがりつく紗希を、友里が引きはがしている。
そういえば、友里は足が速いはずなのに、未央の前を通過しなかった。


