友里と紗希のいなくなった校庭では、気まずさが漂う。
相変わらず黙っている彩芽に、どうすればいいのかわからないというように空を仰ぐ晋吾。
未央もどうすればいいのかわからず、二人と校舎の間をうろうろとするだけ。
さすがにこのままではいけないと思ったのか、しばらく経ってようやく彩芽が切り出した。
「ごめんなさい、早く校舎に入らないといけないのにね。岸和田くんを、犠牲にするために」
校舎に入ると、昇降口から少し入ったところで談笑している友里と紗希を見つけた。
「遅かったじゃん。怖いよ~って泣いてたの?」
友里が意地の悪い目をして彩芽に話しかけた。
合流して南棟に進んだ未央たちに、遠くから走ってくる人影が見えた。
「誰!?」
と身構える友里に、
「”鬼”じゃないわ。足音が聞こえてこないもの。あの大きさからみると、山口くんじゃないかしら」
と彩芽が答える。
はたして人影は、彩芽の言う通り大翔だった。
「”鬼”は!?」
大翔であるとわかっても警戒を緩めずに友里が聞く。
あんまり大きな声だから、”鬼”が気づいてこっちに来るんじゃないかと未央は思ったが、幸いあの大きな足音は聞こえなかった。
「撒いてきた。あいつ、思ったより足速くないぜ。竹内くらいだ」
と、大翔が答える。
いやいや……友里は女子の中では速い方だ。
と言うことは、未央や紗希よりは速いということがわかって、あまり聞きたくない情報だった。


