「自分が助かるために誰かを犠牲にするなんて……そんなひどいことやめましょうよ」
彩芽が即座に反対する。
だが、紗希が乗り気だ。
「紗希は昇でいいと思うよ。誰かが犠牲にならなきゃいけないんなら、被害は最小限の方がいいもん」
最小限の被害……。
言っていることはわかるのだけど、昇なら死んでもいいって言っているようで、なんだか怖い。
先ほどまで、泣きべそをかいていた紗希とは思えない。
このおかしな世界の中で、紗希だけでなくみんなの本性が現れてきたようだ。
もちろん、未央の本性も。
未央の本性は、なんてことない。
ただただ人に逆らわず、目立たないように生きていくだけ。
誰かを犠牲に……なんて、もちろん反対だけれど、それを言う勇気はない。
だから、同じ意見の彩芽をひそかに応援していたのだけど、
「彩芽、きれいごとばっかり言わないで」
紗希と友里、二人に責められて、彩芽ももう限界のようだった。


