『では、鬼ごっこのルールを説明しま~す』
”口”の間延びした口調に、とてつもなく似合わないみんなの真剣な顔。
未央もしっかりと前を向いて、説明を一言一句聞き漏らさないように、気合を入れなおす。
『鬼ごっこの鬼は、私が準備いたしま~す。皆様は、この鬼から精一杯逃げてください』
”口”の中から、赤い顔をした私たちのイメージそのものの”鬼”がむっくりと出てきた。
『鬼にタッチされた一人が負けとなりま~す。誰かがタッチされた時点で私が放送をかけますので、皆様この教室にお集まりくださ~い。鬼が三十秒数える間に逃げてくださ~い。それでは……スタート!』
スタートの合図と同時に、”鬼”が数を数え始める。
「い~ち、に~ぃ」
地獄の底まで響きそうな、低い声だ。
「早く!」
彩芽を先頭に、未央たちは校門に駆け出した。


