『いや~、皆様。よくわめきますね~』


 ”口”が動きを見せたのは、あれから長い時間がたってから。


 長い時間、というのは時計も動かず太陽も沈まずで、何時間や何日といった時間の区切りがつけられなくなったからだ。


「しゃべっ……た?」


 沈み込んでいた全員が、前を向いて黒板に浮かぶ”口”を見つめる。


『そりゃ喋りますよ。だって、口ですから』