「晋吾くん、上の窓は開く?」


 彩芽が教室の上に換気用に作られた窓を見上げる。


 今は夏だからその窓は基本開いているはずなのに、なぜか今日は閉まっていたようだ。


 晋吾はクラスで一番背が高い。


 彼なら窓にも手が届くはずなのに、晋吾は首を振るばかり。


「早く開けてようっ」


 紗希が涙目で訴えても、晋吾は開けようとしない。


「どうしたの?」


 無口な晋吾にまくしたててもだめだと思ったのか、彩芽が優しく問い直した。


「もうさっき試した。開かなかった」