真弘くんが本を選び終わったのはそれから30分後くらい。
本屋を出ると、行き先も言わずに歩き出す彼の後についていった。
「ねぇ、どこいくの?」
「聞きたいことがあるんだけど、ここじゃうるさいだろ。場所変えるから黙ってついてきて。」
相変わらず冷たい物言い。
でもなんか嫌な感じはしない。おかしな話だけど。
それは私の歩幅に合わせて歩いてくれるからだろうか。
やってきたのはあまり人気のない臨海公園だった。
あたりは暗くなってて、電灯の下のベンチに腰掛けた。
「聞きたいことって、なに?」
そう言うと、真弘くんは私の目を見た。
彼の茶色い目がビー玉みたいで、目が離せなくなる。
「あんた、俺の兄さんの彼女でしょ。」
「…え?」
唐突に言われたことに、思わず目を見開いた。
真弘くんは相変わらず冷静そうに私を見ている。
「知ってたの…?」
「まぁ、ね。」
知っていても不思議はないけど、朝からの態度を考えると、驚いてしまう。
彼は知らないふりをしていたのだろうか…?
思わず言葉を失ってしまい、沈黙が訪れた。
何も言い出せない私。
どうして…何も言えないんだろう。

