「あのね、実はテスト期間中はそのまま家に帰りたくて……」
「え、どうして?好きに使ってるけど、あそこも一応図書室だから問題ないと思うけど」
「うん。でも、やっぱり一人の方が集中でき……」
「しーおーんー!!」
「わっ…!!」
突然横から抱きつかれた感触に驚いて、思わず声を上げてしまった。
「え、何…?」
慌てて抱きついてきた人物を見てみると、
「助けてください……」
数学の教科書とノートを見せながら、眉を下げて何か訴えようとしている棗ちゃんだった。
「な、棗ちゃん……?」
「……私、数学だけはほんっとうに破滅的にできないの!呪文かよって突っ込みたいぐらいわからなすぎて……」
だから、と力強く手を握られる。
「えっと……」
「紫苑、私に数学教えて!」
「へ、え…!?」