「じゃあ、来週からテストだから、ちゃんと勉強しろよー」
5月も中旬になり、担任の浜田先生の言葉に、クラスから不満そうな声が上がる。
「えー、マジかよ」
「俺、絶対赤点取る気しかしねえんだけど」
「私も勉強しないとマジやばい」
ブーブーとブーイングを零すクラスメイトを傍目に、
そう言えばもうそんな時期かあ……。
なんて感じる。
毎日ではないけど第一図書室も行ってるし、それと言って変わったことも特にない今日この頃。
一緒にいたい、と言ったあの日に皐月に聞こうと思っていたことはタイミングが掴めずに聞けなかったけど、
それ以上にあの日得たものは大きくて、思い出しただけで笑みが浮かぶ自分がいる。
「テストかあ……」
しばらくは第一図書室に行くのはやめて、家で勉強しようかな。
なんてことを考えていると、
「しーおんちゃん」
「あ、湊君。いいタイミング」
「え、何?」
目の前に現れた可愛らしい笑顔に、伝言を頼もうと口を開く。