こうなったら皐月から逃げられるとは思えない。
私は意を決して口を開いた。
「……私、みんなと一緒にいるようになってみんなのことを知りたいと思うようになって……」
「……」
「でも、勝手に自分が踏み込んでいいのかわからくて、聞いたらみんなを傷つけそうで……」
「……」
「だから……」
「うざい」
放たれた言葉に「へ…?」と変な声が出た。
「聞いたらみんなが傷つくんじゃないか、嫌な気分にさせてしまうんじゃないか」
「……」
「俺にはいざ踏み込んだ時に自分が突き放されるのが怖いって聞こえるんだけど」
「……」
私を見てハッと笑う。
「結局は自分が傷つきたくないだけじゃねえか」
その一言に鈍器で頭を殴られたような感覚に襲われた。
それは言われていることがすべて図星だったから。
心の奥底ではそんな風に思ってしまっていた自分がいたから。
「初めて会った時に言ったよな」
皐月からの警告サイン。
『もうここには来るな』
確かにあの日、私は皐月に忠告された。
だから、関わらないようにすればできたはずなのに、私は……。
「けど、あんたは今もここにいる」
もし、と口を開く。
「今も俺らと一緒にいたいと思うなら……」
皐月の瞳が私に訴える。
「それ相応の覚悟を持て」
あの時と同じ鋭い目で生半可な気持ちで近づくな、と。
湊君がたまに見せる切なそうな顔。
達己の表情が無に変わった時の違和感。
いつも必ず決まった時間に帰る皐月。
晴とこの部屋の関係。
これまでの短い間でも気づいてしまった。
中途半端に関わったらお終いだと。
今ならまだ逃げられる。
これ以上進めば、もう目を背けることができない。


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