わっ……。


思わず視線を逸らす。


見過ぎてて鬱陶しいよね。

今も嫌な気分にさせてどうするんだ、自分。



「……何か聞きたいことがあるなら言えば?」



「えっ…」



思いがけない言葉に顔を上げる。



「聞きたいことがあるんじゃねえの?」


「え、いや……」


「ないならいい」


「あ、待って!ある、ありますっ…!」



本に視線を戻そうとした皐月を止めると、本をテーブルに置いて真っ直ぐに私を見る。



無表情の整った顔。


どこか冷たさを感じていたその姿だけど、今はもう冷たいなんて思わない。



だって、棗ちゃんを通して皐月のことを少し知れたから。



「何?」


「えと……」



聞きたいことはあるのに言葉が出ない。



「……」


「あの……」



本当に聞いていいのか、ここにきてまた迷ってしまう。



なかなか口を開かない私に見兼ねたのか、ため息を吐いた皐月は、



「……あんたは俺らのことをどう思う?」


「え…?」


「怖いのか?関わりたくねえのか?」


「そんなことは……」


「じゃあ、一緒にいたいか?いたくねえのか?」


「それは……」



なんでそんなこと聞くんだろう……。



「もしあんたが俺らと一緒にいたいと思うなら、相手のことを知りたいと思うのは当然だろ」


「え……」



まさか皐月からそんな言葉が出るとは思わなくて驚く。



「それに、大方、聞きたいことは昨日の棗とのことだろ?」



う……見透かされてる……。



「違うか?」


「そう、です……」


「じゃあ、聞けばいいじゃねえか」


「でも……」


「何?言いたいことがあるならはっきり言え」



真っ直ぐに見つめる視線から目を逸らせない。