「……棗」
久しぶりに呼んでくれた名前。
それだけで胸が高鳴って、ポカポカと温かくなる。
皐月の口が右耳に近づいて。
「_________好きだ」
伝えられた言葉に全身が、心が、鼓膜が、揺れる。
ずっと、ずっと夢見てた。
皐月が私のことを好きになってくれることを。
いつか、皐月の特別な女の子になりたいって。
「っ…」
涙がまた溢れ出す。
でも、今度は幸せの涙だ。
「私も…好きっ……」
やっと、届いた気持ち。
やっと…繋がった……。
「……ありがと」
ずっと、追いかけてくれて。
ポツリ、と小さく呟かれた言葉に笑みが零れた。