「……」
「……」
「……」
「……お前は俺といたら傷つくだけだろ」
沈黙が続き、黙っていた皐月が私の左耳にソッと手を伸ばして触れる。
ピクッと反応した私に目を細める。
「……俺はお前を傷つけるのが怖いんだよ」
ああ……。
苦しそうに切なそうに呟かれたそれは、ずっと私が背負ってこさせてしまったもの。
音がない、何も聞こえない、それはもっと皐月の声を小さくさせる。
左耳を触れていた皐月の手の上に自分の手を重ねながら顔を上げる。
「あの時……音を失った時怖かった……すごく怖かった……」
「……」
眉根を寄せる皐月は私への罪の重さからなのか見てるだけで痛々しい。
でも、でもね。
「けど……それ以上に……皐月が側にいなかったことが怖かった……」
「…っ、」
目を見開く。
「音を失うことより……皐月を失うことの方が……ずっとずっと怖かったんだよっ……」
あの日から私の前に現れなくなった皐月に、私の知らない何処かで本当に消えてしまったんじゃないかって、もう会えないんじゃないかって。
「本当は……側にいてほしかったんだよっ…」
「……」
止まっていた筈の涙がまた溢れ出す。
「お前は……俺を責めるべきなのに何でそこまで…」
だって、それは……。
「私の世界は…皐月で回ってるんだよ…皐月になら傷つけられたっていい。傷つけられることより、嫌われることの方が怖いっ、それぐらい大好きだから…!」
傷つけられたって何度でも何度でも私は皐月を追いかける。
だから、そんな私から逃げないで。嫌わないで。
お願いだからっ、
「私から目を背けないでっ、私のこと傷つけたと思うなら、その全部を一瞬に背負って生きてやるってぐらいになってよっ…!」
皐月の手を掴む手にギュッと力を込める。


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