「ブサイクな顔してんな」
泣いて腫れた目を見て、フッと笑われた。
バッと両手で顔を隠して、指の間から達己を睨む。
「このバカッ」
「いて!」
湊君が呆れた顔で、達己の頭をパシンッと叩いた。
湊君、ナイス……。
「紫苑……」
そんな達己と湊君の間を通って出てきた棗ちゃんに、顔から手を離して立ち上がる。
「棗ちゃん……」
棗ちゃんが私の顔を見て顔を歪めた後、
「バカ!」
ギュッと抱きしめられた。
「え……棗ちゃん……?」
「あんな先輩達なんか私一人で何とでもできたのに、急に出てきたりして」
「ご、ごめん……」
やっぱり迷惑だったよね……。
「本当にバカ……」
「うっ……」
その通りすぎて、何も言えない。
「でも……ありがとう」
「……っ…」
棗ちゃんの声が震える。
先輩達に囲まれても決して揺るがなかった声がゆらゆらと揺れていた。
「棗ちゃ……」
「助けてくれて……大切な友達って言ってくれて……ありがとう……」
嬉しかった、と耳元で言われて、また涙が頬を伝った。
「私、何にも気づいてなくて…何にもわかってなかった…ごめん……ごめんね……」
「バカ……そんなこと思ってたの……?」
「だって……」
「私が何にも言わなかったせいなんだから、紫苑が気にすることじゃないんだよ……」
そんなこと言われても、納得できない自分がいる。