「……棗のこと、ありがとな」



俯く私に晴が頭をくしゃと撫でる。



まるで、私の気持ちをわかっているようで。




「……うん」



また、その手の温かさに泣きそうになる。




……私、何にもできなかったけど、前よりは進めたかな。



一歩でも、踏み出せたかな。





「……ありがとう」



晴も、達己も、湊君も、皐月も。




本当に、ありがとう……。




キーンコーンカーン



最後の授業の終了のチャイムが鳴る。



結局午後の授業は出れなかったし、晴も巻き込んでしまった。



今度、フルーツオレ渡そう……。




「晴、棗ちゃん達どこで待ってるの?」



授業も終わったし、話をするなら、早くそこに行かなきゃ。




「そのうち来る……」


「来る?」



来るってここに?



隣で座る晴が頷く。



そっか……。




それから少しの間、晴と一緒に待っていると。




「やっと泣き止んだか」



達己が現れて、その後ろには皐月、湊君、そして棗ちゃんがいた。