紫苑 -SHION-





「あ…私達はただ、あの子が皐月君に鬱陶しく付きまとってるからっ」



「皐月君も迷惑してると思って……」



「だから、わざわざ教えてあげてただけでっ!」




先輩達の言葉に何でこんなことを言えるのか不思議に思えてくる。


そんなの、ただの自分の気持ちの押し付けだ……。





「……た」



「え?」



「俺がいつ迷惑だって言った?」




皐月の先輩達を見る目がスーと冷たくなる。



皐月のこんな冷たい目、初めて見た。




「そ、それはっ…」



「あんた達の勝手な妄想で俺のことを勝手に語るな」



「…じゃ、じゃあ!何でいつもあの子から逃げてるの!?」




ビシッと一人の先輩が棗ちゃんを指差す。


棗ちゃんは辛そうに俯く。





「……」



「鬱陶しいからじゃないの!?」



「……黙れ」



ビクッ



さっきよりもずっと低い声に、先輩達の肩が上がった。





「人の気持ちを勝手に解釈して、勝手に暴走して、そういうあんたらが鬱陶しい、迷惑だってわからねえのか?」



「……っ…」



「人のこととやかく言う前に自分の行動見直せば?」




ハッと笑った皐月にカーッと顔を赤くした先輩達は慌てて、背中を向けて逃げ出そうとするのを慌てて止める。